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20111222

フェルメールからのラブレターを受け取りに

渋谷のbunkamuraが改装を終え、オープンしたのでお邪魔してきた。

京都市美術館を皮切りにスタートした「フェルメールからのラブレター展」。

bunkamuraが改装に入る前の展覧会もフェルメール。そのときは、オランダ・フランドル絵画のコレクションが豊富なシュテーデル美術館の改築工事に伴い、レンブラント、ルーベンスらの作品がまとめて貸し出されていたのだが、フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展の会期が3月3日~5月22日だったがために、震災で美術鑑賞どころでなかった方も少なくなかったことだろう。

未だ震災の爪あとは消えやらず、能天気に何かを楽しめる気分ではないかもしれないからこそ、コンセプト勝負ではない、「これは、もう、相当、丁寧に描いている」「人間ってここまで丁寧な仕事ができるんだな」と素人目にも分かる展覧会を紹介したい。

フェルメールといえば、静謐な空間で静かに時を過ごす女性の絵画が特に知られている。今回は、寡作のフェルメール作品から女性を描いた3作品を鑑賞することができる。

他のデルフトの画家達と並べるからこそ分かる、圧倒的に丁寧なフェルメールの仕事。暗闇に光を閉じ込めるカメラオブスキュラ(現在のカメラの祖先)に興味を持ち、デッサン時に取り入れていると言われているが、そこはまだ研究中とのこと。フェルメール作品には下絵やデッサンが残されていないとされているからこそ、そもそも下絵をフェルメールが描いているのか? といった謎まであるようだ。

それはさておき、フェルメール作品を実際に観て分かる、絵画が内から発光するような塗り。明暗における描き込み具合のバランス、コントラストの匙加減のセンスが抜きん出た画家のように思う。

人物たちやその場面が豪奢な装飾品で溢れているわけではないのだが、だからこそ絵画の登場人物が丁寧な生活をおくっている。そこには、選び抜かれた物だけがあるというのが伝わってきて、フェルメールの丁寧な塗りに加え、作品全体として品が醸し出されてくることに一役買っているのだろう。

フェルメールからのラブレター展