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20111112

医学と芸術展(過去ログ)

なにか新しい企画を生み出さなくてはいけないとき、パートナーとの関係性に違和感を覚えたとき、その場で煮詰まるのもひとつの手かもしれないが、息抜きから意外な突破口が見えてくるかもしれない。

そんなときに利用したいのが、<strong>六本木 森美術館で開催中の『医学と芸術展』</strong>。約150点の貴重な医学資料や美術作品に約30 点の現代美術や日本の古美術作品を加えて展示されている。

例えば、見るからに完成度の高いレオナルド・ダ・ヴィンチ『頭蓋骨の習作』。イギリスの現代芸術家であるダミアンハーストのホルムアルデヒドで保存した人体の輪切りの作品。アメリカンコミックのヒーローがご老人になった様子が見られるジル・バルビエの『老人ホーム』。日本の巨匠である円山応挙の『波上白骨座禅図』。そして、蜷川実花氏による義足や、各種歴史的医療器具、さらには「セミリビング」という細胞培養の機器まで展示されている。

これだけの展示を挙げても、その切り口は、その人次第。楽しみ方は人それぞれだと思う。そして、医学と芸術という、一見、まったく違う分野が、なぜひとつの展覧会として成り立つんだろう? という問いにも、様々な答えが出せるだろう。

医学と芸術、兄弟のように似た部分をもっているのだろうというのが、この展覧会で私が実感したことだ。科学も芸術も目に見えざるものを、目に見えるもの、共通の世界として共有しようという欲求が生み出した「技術の結晶」という共通点をもっている。見えざる世界を他者と共有できるものとするとき、科学は記号を用いてその世界を生み出す。芸術は非言語的形式を用いてその世界を生み出す。

目の前にあるものを観察し、伝える技法が違うだけで、その心は結構、近しいところにあるのかもしれない。世界を”create”しようとするとき、ただ闇雲な空想からは世界は生まれない。自然を観察し模倣することから世界は始まるということが、この展覧会では見えてきた。

「医学と芸術なんて、ジャンルが違うもの、相容れないでしょう」。そんなかたくなった頭をときほぐすことから、自分の企画もパートナーとの関係性もはじめてみてはいかがだろう。